SEOが検索の仕組みの基づいた競合対策であるのに対して、AIO対策は、AIが事前学習内に持っていない情報をコンテンツ化して、それを回答の補完情報とする促進対策です。
一次情報
AIは信頼のおける一次情報を重視します。他にはない一次情報はAIの知識を補完することができます。そして、AIは直接1つの回答を返すため、同じ情報を複数から得たとしても、その情報源として提示するのは、もっとも信頼がおける一次情報を発したコンテンツとなりやすいからです。
SEOでも一次情報(独自な情報)は最重要項目です。しかし、検索には2位や3位以下もあるため、一次情報の発信源は曖昧で、ユーザーの評価も順位に反映されるため、有用性の高い二次情報が上位を取ることも可能です。また、検索意図が広くページ単位で評価されるため、対象の一次情報が特定しづらい点があり、検索においてはAIほど重視されません。
AIは情報を取得して回答を組み立てるため、間違いの起きにくい一次情報の発信源であるコンテンツから情報を取得するようになります。商品のスペックはブログよりも製品サイトや正規販売店から取得し、税金に関しては国税庁から、といった具合に情報源が選ばれやすくなります。一次情報のコンテンツになるのは、次のようなものです。
- 自社の製品・サービスに関する情報、公式スペック
- 自社の製品やサービスの利活用実績、事例
- 自らの体験、経験に基づいたコンテンツ
- 自社アンケート、稼働実績
- 自ら創作した文章や画像、動画、調査レポート等
- 現場で発生するような、AIがレビューできても生成できないもの
- 一般情報から創作された独自で有用な二次創作物
このような一次情報をユーザーにとって有用なコンテンツにする必要があります。単なるスペックではなく、「なぜそのスペックにしたのか、それで何ができるか」といったストーリーを添えること。単なる感想や思いだけでなく、「使用したメカニズムや数値、それによる実績」など、具体的な信頼性のあるエビデンスを付けることなどが重要です。
AIは、ユーザーの質問に最適で有用な回答が含まれていると判断した際に、そのソースを引用します。そこには単なる一次情報というだけでなく、ユーザーにとっての価値と信頼性を備えている必要があります。
AIで目的検索が期待できる理由
AIは、自然言語での質問に対して事前知識だけで回答できない場合、文章や意図の解析を行った後、内部的に検索クエリを発行して必要な情報を補完します(従来検索クエリを使わなかったChatGPTも、現在では検索機能を使用するようになっています)。そして、その結果をさらに推論して回答を作成しますが、このとき起きる選別プロセスでは、一次情報の信頼性が重要となります。
例えば、次のような質問は、いくつかのクエリに分解され、回答内で再構成される可能性があります(いずれもAIによる回答例)。
- 質問:山の上でゆで汁を捨てられない環境でスパゲッティを作る方法、レシピと道具を教えて
- Gemini 回答例
- 高地 沸点 変化 パスタ 茹で時間 影響
- ゆで汁 捨てない パスタ レシピ キャンプ ワンパン
- 登山用 軽量クッカー パスタ調理 おすすめ 2026
- パスタ 水分吸収量 ぴったり 茹でる 計算
- Copilot 回答例
- 登山 パスタ 燃料 節約 作り方 保温 調理
- 山 ごはん スパゲッティ 茹でない 方法 道具
- パスタ ポット調理 保温 失敗しない レシピ
- Gemini 回答例
再構成された検索クエリは、通常人間がキーワードで入力することが少ないレベルまで細分化され、場合によっては複数のクエリを組み合わせて最適解を作り出します。このとき、これらのクエリの検索上位から機械的に選ばれるわけではなく、あくまでも回答内容に沿う「コンテンツ情報の断片」が使用されます。
前提や条件の多い自然言語の質問に対し、AIは人間には難しい複雑な検索クエリを実行し、順位に関係なく意図に合う情報をピックアップして一連の回答を生成します。これは、キーワード検索における目的検索が抱えていた課題である「マッチングの最適化」を、AIが自動化していると言い換えられます。
つまり、SEOにおいて限られたサイトしか実現が難しかった「目的検索への対応」を、自然言語に対応したAIが多くのサイトに対して実現できることを示しています。これにより、ユーザーは最適な商品やサービスを素早く見つけることが可能となり、多くのサイトが新規顧客を開拓できることを意味します。今後、ユーザーのAIスキルが向上し、AI自体の情報量が増えるに従い、この領域は大きく伸びることが期待されます。
AIがこれほどまでに精緻な検索代行を行うのであれば、私たちサイト運営者がすべきことは明確です。AIが分解したクエリのいずれかにおいて、自社のコンテンツが回答の部品として採択されるよう、一次情報とスペック情報を網羅的に備えておくことです。これが、将来のAIによる新規顧客開拓を促進することに繋がるでしょう。
AIO実践ガイド
コンテンツ作成ポイント
AIが読みやすいコンテンツについては、AIに直接聞くのが近道です。以下のようなプロンプトで一般論を聞くことも、実際の文章を貼り付けて修正版を作ることもできます。
- 「AIが読みやすく、人にもよいコンテンツの作り方を教えて」
多くの作成ポイントの中で、これまでよりも強く意識すべき4点を選んで以下に解説します。
AIはQA形式(FAQ)が読み取りやすい
AI向きのコンテンツはQA形式(FAQ)がよいと言われます。AIは情報が不明確ならば、その間を一般常識で埋めようとします。主語が省かれたり、対象が書かれていなかったり、語尾が曖昧な情報は、実情と異なる回答を生成しやすくなります。QA形式が好まれるのは、複雑な文脈がなく簡潔で、誤解が生じにくいからです。
実際のFAQ形式としなくても、個別のセクションの見出しと内容を分かりやすく対応させることで、同様の効果が期待できます。コンテンツの企画をQA形式でAIに求めるのも効果的です。見出しについては、SEOでは「内容が分かるもの」でしたが、AIOでは「内容の質問になるもの」といった若干の違いがあります。
- SEO:山ではワンパンでペペロンチーノ
- AIO:山で作る最適なスパゲッティは?
SEOでは、何が書いてあるか(結論)を出すことで、見出しだけでコンテンツの概要を把握できるようにすることが推奨されています(1コンテンツ1トピック)。AIOでは、「AはBです」という切り出した部品として使えるような見出しが推奨されます。
文章重視
SEOではテキストが解析され、画像は読み込まれないため、図や表もテキストで表現することが重要でした。AIOでは、さらにテキストに大きな比重がかかります。マルチモーダル化が進むAIですが、依然として論理的な回答の生成源はテキストデータです。ChatGPTなどのサービスでは、レンダリングをしない場合デザイン要素は基本的に無視されます。そのため、必ずテキストで、明解かつ論理的な文章(主語と述語、条件、対象、例外を意識する)にすることがAIOの必須事項となります。
AIOはサイト全体での対応となるため、デザイン重視でキャッチコピーのような断片的なメッセージが散らばっているページの情報はうまく読み取れません。もともとSEOを意識していたページであれば大きな問題はありませんが、重要なページが画像や動画、スクリプト中心の場合、AIが内容を全く理解できず、大きな問題となります。
SEOでもコンテンツの文章が解析されますが、AIOでは文脈や論旨展開も重要です。キャッチーなメッセージは人に訴求するかもしれませんが、それを裏打ちするストーリーやエビデンスがないとAIは正しく理解してくれません。企業や製品、サービスについて重要なコンセプトや価値観などは、論旨展開された適切な文章にすることが必要となります。
構造化データ
構造化データは、SEOではインデックスを促進するシグナル(パンくずリスト等)や、SERP(検索結果画面)で目立ちクリックを得るもの(レビュー等)としての効果が期待されてきました。ただし、その効果は順位アップに直結するというよりは、間接的なものでした。かなりの手間がかかるうえに、そもそもSEO対象のページでなければ意味がないため、大手サイト以外では対応が難しい側面もありました。
しかし、AIではあらゆるデータが対象となります。AIは曖昧なデータよりも、明確に定義されたデータを使う傾向があるため、構造化データで内容を示したコンテンツが有利となります。テキストや表形式だけでは、AIが項目と数値の関係を誤認するリスクがあります。構造化データを用いることは、AIに「専用の仕様書」を渡すことと同義です。
また、構造化データの種類が多様で検索での扱いが頻繁に変わるという問題がありましたが、Googleにより重要な構造化データが明確化されたため、今後はAIによる安定した扱いが期待できます。表のテキストだけでは正確に伝えられないデータを正しく伝えられることからも、AIにおける重要性はSEOよりも格段に上がると言えるでしょう。
クロール・コンテンツ制御
SEOでは、クロール対象外としたいコンテンツは「robots.txt」によって指定することで制御できます。GoogleクローラーやBingクローラーだけでなく、ChatGPTのクローラー(GPTBot)も同様に動作します。SEOにおいては、検索に出さないための例外的な対処という位置づけでした。通常、不要なコンテンツが検索上位に出ることはないからです。
しかしAIOにおいて、robots.txtは非常に重要な設定となります。サイト内には古いコンテンツやテストコンテンツなど、不要で削除されるべきコンテンツが事実として存在しています。AIはこれらの情報が質問にマッチしていれば、古い情報であっても回答に含めてしまう可能性があるからです。
- 「株式会社〇〇について、事業内容と組織図を教えて」
このようにAIに尋ねて回答をチェックすれば、AIが古い情報に基づいて答えていないかを確認し、改善に繋げることができます。AIは自社に情報がない場合、他サイトからも引用して回答を作成します。自社への言及について、常に最新かつ正しい情報を掲載し、不要な情報は適切に制御することが重要です。