サイトの中で検索から流入するページは限られます。検索クエリを、情報検索、指名検索、目的検索の3つに大別してその特徴と今後の対策についてまとめます。またSEOは検索のみが対象となるので、必然的に考慮すべきAIは「AIによる概要」と「AIモード」となります。
情報検索
情報検索(インフォメーショナル・クエリ)は、主に読み物(ブログ、メディア)や、様々なWebサイト、企業広報、行政公報などから必要な情報を検索するものです。最も一般的で量の多いクエリであり、SEOの主戦場です。このエリアは、AIが事前学習し一般知識として直接回答しやすい部分ですが、それでもなお、膨大なトラフィックが見込めます。
引用リンクには2つの側面があります。1つは上位を含む多くのコンテンツに記述のある一般情報(もっとも核心であり、必須情報)であり、もう1つは、派生した情報や関連情報です。一般情報は基本的には上位1〜3位が引用として採用されます。一方、関連情報は比較的下位でも質問の意図に合っていれば採用されます。
AIが部品として使うには、Q&A形式や完結した文が向いています。今までは1ページに多様なトピックを投入していましたが、1つの大きな文章で構成すると、ある情報は複雑な前提の上に成り立つと見えて、部品として使いにくくなります。AIに引用される確率を上げるには、AIが探している回答の中を埋める独自のユニークな「断片」を作ることであり、まとまった意味を持つ極力小さな単位に分けることが望ましいと言えます。
1コンテンツの文字量が減っても心配は不要です。SEOにとって文字量の少なさは問題となりません。実際には短くてもビッグワードで1位を獲得している例はいくらでもあります。なぜなら、単純なビッグワードは、記事の内容よりもサイトの権威性のほうがはるかに大きな決定要因だからです。逆に文章にトピックが多いことでビッグワードで検索1位を獲得している無名のサイトはほぼ皆無です。
本来SEOでも、読みやすく、検索意図に合った適度な大きさのコンテンツを作ること、関連情報は別のページで作ってコンテンツ間をクラスターになるようにリンクを張ることは基本の1つです。1つのページにトピックを集中して1つのビッグワードでSEOをするのではなく、小さな記事それぞれがインデックスされるように幅広いキーワードを面で押さえることにも繋がります。コンテンツをユーザーが読みやすく、AIが使いやすい小さな単位にすることは、SEOの基本でもある「ユーザー本位の価値あるコンテンツ」に回帰するものと言えます。
情報検索に対応したコンテンツの今後のSEO対策は次のようにまとめられます。
- 分かりやすく小さな完結した単位でページを作る
- サイトの権威性が高い場合、多くのキーワードを面で押さえることができる
- ページの多さはトラフィック総量を増やすことができる
- 小さな部品は、様々な文脈においてAIが関連トピックとして使いやすい
- 既に多数記事のあるコンテンツは作らない
- サイトの権威性が高い場合、多くのキーワードを面で押さえることができる
- 自然言語によるピンポイントの質問で採用される可能性がある
- 「〜とは」だけでなく、「〇〇状態におけるXX対策」のような対話型クエリに応えるページを作る
情報検索におけるSEO対策は、AIに提供する『独自性のある知識の断片』を増やす作業となります。「〜とは」による上位コンテンツがAIによる概要によって大幅にトラフィックを奪われる一方、ニッチで専門性の高いコンテンツはAIに最適解として発見されるようになります。これにより、サイトはCVへ繋がる意欲の高いユーザーを引き寄せることができるようになるでしょう。
目的検索
目的検索は、トランザクショナル・クエリとも呼ばれます。ユーザーが何らかの目的をもってサービスを探しているケースで、購入や予約、資料請求など、サイトにとってはコンバージョンにつながる重要なクエリです。
もっとも典型的なものはローカル検索(MEO)であり、すでにGoogleがAIをフル活用して「雰囲気」や「メニューの細部」までマッチングし始めています。この成功事例が、ほかのB2BやEC領域にも広がっていくと考えられます。
現状、ローカル検索以外では、目的検索のSEOは非常に難しい領域です。通常ユーザーは欲しいものを製品やサービスのカテゴリーで検索します。
「イヤホン BT オープン型」
「人材紹介 システムエンジニア 高収入」
これら通常の検索結果には、大手販売店やメーカー、大企業が上位に並びます。ユーザーの求めるものは多種多様であり、対象となる製品やサービスも数多くあるにもかかわらず、キーワードのバリエーションが極めて限定的であるために、認知度の低いコンテンツは検索結果に出ることが極めて難しいのが実状です。
従来の検索エンジンでは、多種多様な製品をわずか数語のキーワードで格付けするため、資本力や認知度のある大手サイトが上位を独占せざるを得ない構造でした。ユーザーの細かなこだわり(ロングテールなニーズ)は、キーワード検索の限界によって切り捨てられてきたのが現状です。
「イヤホン BT5 オープン型 ノイズキャンセル 12時間」
このクエリのように、一部のユーザーが手間をいとわずに詳しいスペック検索をすることを期待してコンテンツを作ることが、目的検索用のコンテンツ制作です。当然、検索ボリュームは極めて小さく、そのために検索結果自体も信頼性の低いものになりがちです。
つまり、目的検索は本来ユーザーの細かいニーズに応えることが求められますが、高いマッチングを実現することが難しいのが現状です。このような状況のため、コンバージョンを生み出す目的検索となるようなワードは、広告にとっては重要な領域となっています。
ユーザーが自然言語で求める情報や商品、サービスを問い合わせるようになれば、この状況は大きく変わる可能性があります。キーワード2、3語までの入力による検索結果のWebサイトをさまよってニーズに合う商品を探していた人も、自然言語なら詳しく問い合わせることができます。
「オープン型のイヤホンで12時間連続で聴けて、できればノイズキャンセルが付いているBluetooth 5以上の商品を教えて。レビューの多い順に5つ挙げて」
AIが個別の情報をより多く蓄積し、検索と自力では見つからないような精度の高い回答を出すときがくれば、ユーザーの多くは自然言語で自身の希望を伝えるようになると思われます。そのとき、サイトは意欲のあるユーザーをAIを通じて得ることができるでしょう。
将来的に、AIは目的検索の救世主のような存在になる可能性があります。現在できる目的検索対策は、製品やサービスのスペック、特徴、実績を数多く出すことです。今は前述のようにうまく機能していませんが、今後のAIにとっては重要な個別情報となることが期待できます。
目的検索に対応したコンテンツの今後のSEO対策は次のようにまとめられます。
- 自社サービスの仕様、実績、そして独自の特徴を余すことなくコンテンツ化する
- AIによるマッチングを期待するための布石とする
目的検索は、AIの発展により、大手サイトや主力製品・サービスに埋もれてしまっているニッチな商品・サービスとユーザーをマッチングし、キーワード検索では届かなかった潜在顧客との出会いを促進するでしょう。
指名検索
企業名やブランド名で特定のサイト訪問を目指したクエリであり、ナビゲーション・クエリとも言われます。URL入力の代わりとして使われます。認知ユーザーであり既存顧客を含むので、コンバージョン率も高い訪問者です。
このクエリはAIが取って代わるものではなく、今後も活用されていくものと思われます。認知を上げて指名検索を増やすという流れは今後も変わらないでしょう。このため、AIが認知を広めてくれるような施策が間接的には重要とされます。
AIが認知を広める一助となるためには、自社サイト内での発信はもちろん、外部メディアやSNSなどで自社の特徴が語られることが重要となります。AIが「〇〇といえばこの会社」という関係性を学習することで、間接的に指名検索の総量を押し上げます。企業ストーリーなどのコンテンツもこの流れに位置づけられます。
また、「ハルシネーション(誤情報)」の防止も重要です。AIが自社について間違った回答をしないよう、公式情報を正しく伝えることも「指名検索対策」の一環と言えます。
指名検索に対応したコンテンツの今後のSEO対策は次のようにまとめられます。
- 外部メディア、SNSを通じて自社の活動、特徴を発信していく
- 企業やサービスの独自性を訴求するコンテンツを多く配置する
- 中長期的な施策となる
- 自社内にフォーマルな情報を正しく掲載する
SEOでもAIOでも指名検索は、Webマーケティングの大きな到達点と言えます。ここに至れば、ユーザーは直接情報を見て判断するようになります。指名検索するユーザーの期待に応えるコンテンツとサービスの提供によって、ユーザーは真の顧客となるでしょう。